えーっと。
天邪鬼なので、つい、こういうことを書きたくなるんだけどね。ちょっと読んでってよ。
日本語好きとしてスルーしきれない記事があったんだ。
まずこれ。

《依存心》は正しくは「いそんしん」。「いぞんしん」と覚えていた人が多いのでは? 「依存=いぞん」と読む場合もあるようですが、本当に正しい読みは濁音が入りません。
(中略)
普段使う言葉でも、間違えて覚えてしまっているものは意外と多いもの。ランキングの中であなたが正しく読めた言葉は、いくつありましたか?

http://ranking.goo.ne.jp/ranking/015/mistake_read/


えー…。ここで「いぞんしんって間違いだったのか! 明日からいそんしんって言おう」と思った方はいるのだろうか。学校のテストで「依存心」の読みに「いぞんしん」って書いたら先生は×をつけるだろうか。漢検のテストならちょっと危ういかもしれないな。
「私っていそんしんが強くってー」って言ったらちゃんと「依存心」と伝わるかな? どうかな? 音で聞くと「威…尊…?」とか思いませんか。(私だけ?)


ちゃんと読まないといけない。
「依存=いぞん」と読む場合があるのです。ていうか私の認識ではこっちが一般的なんだけど誰か反論ある?
同じgooの辞書でひいてみる。(辞書提供は三省堂大辞林

いそん 0 【依存】
(名)スル
〔「いぞん」とも〕
(1)他のものにたよって成立・存在すること。
「食糧の大半を外国に―する」
(2)〔論〕「依属(いぞく)」に同じ。

の検索結果 - goo国語辞書

で、こういう実情のうえで、「間違えて覚えてしまっている」というのは、さて如何なものか?


たしかに「依存心」は本来正しく「いそんしん」と読まれるべきなんだろう。それは分かるよ。分かるけどさ、「いぞんしん」っていう読みは果たして間違っているのかな? 「依存」を「いぞん」と読めて「依存心」を「いぞんしん」と読めない道理はない。むしろ「いそんしん」と音読して相手に正確に伝わらない可能性を考えたら、たとえgooの中の人に「間違っている」と言われたところで私は「いぞんしん」を改める気にはならない。
源氏名は「げんじめい」が間違いで「げんじな」が正しい、とは主張するけど。
「まちがっていること」と、「本来の正しい読みではない」とはちがう。「本来の正しい読みではないけれど、決して間違いではない」というのは往々にしてよくある(だからこそおもしろい)。
「重複」は「ちょうふく」でも「じゅうふく」でも良いはずだし、「黙示録」は「もくじろく」でも良いんじゃないかと思う。(宗教系の用語として「もくしろく」が通例なのかもしれない。今まで「黙示録」という単語を会話に織り交ぜた覚えがない無神論者なので私にはよく分からないよ)

もくし 0 【黙示】
〔「もくじ」とも〕
(1)はっきりと言わず、暗黙のうちに意志や考えを示すこと。
「―の契約」
(2)ユダヤ教キリスト教で、神が人に隠されていた真理や神の意志を啓示すること。アポカリプス。

の検索結果 - goo国語辞書


「正しい」ってなぁに?


ちなみにランキングは上位30項目出てるけど、正解以外に一体どうやって間違って読んでいたのか見当つかないものが結構、ある。むしろそっちが謎だ。誤答の方が面白そうなんだがなぁ。警鐘とか他にどう読めるんだ。
まあこれくらいの勘違いはかわいいもんです。「家」のウ冠の下を尓っぽく書いてきたり、「染」をサンズイで書いてきたり(そんな字ねぇよ)、「恵」の右上に点を打ったり(気持ちは分かるけど)、「廣」の中を「黄」にしたり(…気持ちはよく分かる)、漢字の字形を間違って覚えている人もよくいるのです。誰とは言わないけど。仕事中に見かけるとかわいいとか言ってらんねぇ。
0歳児からの英語教育も良いけど、日本語もちゃんと学習しようよと言いたくなる。