そうだそうだ。
田中芳樹の『天竺熱風録』読了。
ん、まあ、おもろかったよ。章回小説の文体は成功だと思う。語りもの、みたいな。
ただ。ただ、気になった。田中芳樹の銀英伝に衝撃を受け、創竜伝に魅了され、アル戦に笑い、魔術シリーズに胸キュンし、短編小説も中国ものも読みあさってきた私としては物足りない。王玄策のキャラが立ってない!! これだけは許せない域で、キャラ薄い。むしろ彼岸という修行僧がキャラ立ちすぎている(これは無問題)。王玄策の内面が出てこない。上下巻にしてでももっと書き込んでほしかった。功績だけなら概略で充分で、田中芳樹作品ならではのキャラの表情がもっと見たかった。
なんかなー。ヤン・ウェンリーが半個艦隊でイゼルローン要塞攻略したエピソードだけを一冊の本で完結させても物足りないだろう、みたいなね? 戦闘シーンだって、文官である王玄策兵法書もなしで大軍相手に少数の外国の兵を指揮して勝つ、この辺をもっと書き込んでくれたって良いじゃないか。使命感に燃えるよりも予想外の事態にひとり毒づくとかさ。それでこそキャラも立つもんだ。
話は面白かったんだよ、確かに。王玄策がすごい事したのも分かった。でもやっぱり田中芳樹にはキャラ小説の要素も期待してたのに…。私としてはちょっと残念な感じでした。